今回は、私が信託を知って勉強を始めたときに株式の信託を知り、こんなふうに出来るのかと心がときめいた仕組みをご紹介しようと思います。
株式を信託する場合、議決権と財産権を分けて考えます。最初は両方を元々の所有者が持っておき、その後議決権の行使が出来なくなった時には議決権行使の指図権を次に株式を託したい人に渡すようにし、さらに亡くなった後は利益配当等の権利も渡すということが出来ます。そうすることで、相続等による株式の分散を防ぐことが出来ると考えます。

中小企業オーナー(社長)は株式のほとんどを自分でお持ちの場合がよくあります。
例えば、社長が高齢になり、認知症の発症または長期入院等で、適切な議決権の行使が出来なくなることがありますが、そうなると決算承認や役員変更等、経営が進まなくなるかもしれない事態が生じます。
下記のように考えることで、元気なうちは信託する以前と実質的には変わらないので、経営権を握ったままにできます。もし、議決権行使が出来なくなった時には、後継者になる人が議決権を行使できることにより経営が進まなくなることを回避できますし、また、生前に対策することによって、遺言をめぐる争いも回避できるのではないでしょうか。
受託者を後継者(かつ第二次受益者)とすることも考えられますが、オーナーが亡くなられたあと1年で信託が終了してしまうことを考えると、受託者を一般社団法人とする方法も考えられます。その場合、一般社団法人の社員にはオーナー社長も含め会社の役員が就任することが多いと思います。

株式の信託が役に立つかもしれない場面
1.事業承継を進めたいが、株価が高くて難しい
2.株価が低いうちに株を承継したいが、今はまだ議決権は渡したくない
3.後継者がまだ決まっていないが、いつかは引き継いでもらいたい
4.自社株を代々直系に承継させたい
5.自社株を渡したくない人がいる など
民事信託のご相談は我々LTMにお気軽にご相談ください。
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