相続税について
相続税は、先進国を中心に、多くの国で採用されているポピュラーな税金です。
その起源は国によって異なりますが、一般的に税金とよばれるものは、戦費を調達する目的で検討されるケースが多いです。
明治38年に取り入れられた日本の相続税も例外ではなく、前年に勃発した日露戦争の資金調達目的として採用されたのがはじまりです。
相続税は、大きく分けて2つの考え方があります。
(※各相続税の方式の詳細は各方式をクリックして下さい。)
では、日本の相続税はどちらを採用しているのでしょうか?
日本には古来より家督制度があり、長男が全財産を相続することが一般的でした。
相続税が採用された当時も家督の考え方は残っており、遺産を分割することは日本の慣習に馴染まなかったため、遺産税方式が採用されました。
第二次世界大戦後、富の集中を防ぐ目的で、相続税は遺産取得税方式に見直されました。
相続開始時の遺産総額に課税する遺産税方式に対し、分割後の遺産に対して累進税率を適用する遺産取得税方式は、遺産分割を助長する効果があるためです。
納付すべき相続税を減らすことができるなら、長男がすべて相続するのではなく、兄弟にも分け与えよう。
そう考えさせることで、富を分散し、公平性を確保することが狙いでした。
その後、相続税は改正を繰り返し、現在の日本では「遺産税方式」と「遺産取得税方式」を足して2で割ったような、「法定相続分方式」と呼ばれる計算方法となりました。
(※各相続税の方式の詳細は各方式をクリックして下さい。)
最後に、「遺産税方式」と「遺産取得税方式」は両方式は計算が簡単である分、細かな相続に対応することが難しいのです。
そのどちらにも対応できるように、日本の相続税は改正を繰り返してきました。
その結果、両方式の欠点を補うことはできましたが、計算が非常に複雑になってしまいました。
そのため相続が発生した場合、納税者の約85%が税理士に依頼しているのが現状です。
さらに、相続税を含む日本の税金は、その多くが申告納税方式を採用しています。
申告納税とは、自ら利益を求め、税金を計算し、申告・納付することです。
待っていても、納付税額を教えてはくれる人はいません。
とりわけ相続税は、相続開始後、限られた期間で申告を終える必要があること。
また、相続が日常的に発生する事象でないこともあり、申告間違いも多いです。
申告後に税務署が行う税務調査では、実に調査した80%以上で、修正申告を求められています。
無駄なペナルティーを支払わないためにも、生前から十分な事前準備をしておかれることを強くお勧め致します。
準備期間があれば、信託や保険等の活用も検討できます。
これらは節税目的だけでなく、被相続人が考える遺産分割を、残される者に対して確実に実行させる事が可能になります。
相続が発生してからの対応は非常に難しいです。
遺言や後見制度との併用も含め、ぜひ一度、ご自身の相続について考えてみてください。